100均の充電器が熱くなったり、充電できなくてイライラすることありませんか?急に使えなくなったら困りますよね。本記事では、充電の仕組みやパワー半導体を解説し、なんでそんなことになるのか?を説明して、おすすめの代替品も紹介します。
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そもそもUSB充電器ってどういう仕組み?
ACアダプター:コンセントの電気は「交流」、スマホの電池は「直流」
私たちが家庭で使うコンセントから出ている電気は「交流(AC)」です。しかし、スマホやノートパソコンに搭載されているリチウムイオン電池は「直流(DC)」でしか充電できません。つまり、USB充電器の役割は、ACをDCに変換することです。
充電器の心臓「パワー半導体」とは?

ACをDCに変換するためのキーパーツが「パワー半導体」です。これは電気をスイッチのように高速でON/OFFして、安定した電力を出すために使われます。性能・信頼性・発熱に大きな影響を与える重要部品です。
Si、GaN、SiCの違いと特徴
| 材料 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| Si(シリコン) | 安価で大量生産可能、発熱しやすい | 低価格な充電器 |
| GaN(窒化ガリウム) | 高効率、低発熱、小型化が可能 | 高性能USB充電器、急速充電対応モデル |
| SiC(炭化ケイ素) | 高耐圧・高温向け | 工業用途・電気自動車など |

GaNは高性能ながらもコストが高く、主に高出力の充電器で使われています。
パッケージや仕様書で必ず確認したい!出力、電圧、端子タイプの見方
パッケージや仕様書には、出力や電圧、端子タイプなどの重要な情報が記載されています。
これらをしっかりと確認することで、自分のデバイスに適したUSBコンセントを選ぶことができます。
特に、出力電流が不足していると充電が遅くなるため、注意が必要です。
以下のポイントを確認しましょう。
- 出力電流:デバイスに適した電流を確認
- 電圧:適切な電圧が記載されているか
- 端子タイプ:自分のデバイスに合った端子を選ぶ
100均のUSB充電器にはどんなパワー半導体が使われている?
ダイソーでは「Si」が主流

100均で販売されているUSB充電器(実際は300~550円程度)は、ほとんどが安価なシリコン(Si)製パワー半導体を使用しています。
稀にGaNモデルもあるが、内部はコストギリギリ
最近では、GaN搭載を謳う格安モデルも見かけますが、内部回路の設計や冷却対策が省略されている場合が多く、安定性に不安が残ります。
100均の充電器はなぜ壊れやすいのか
安くて便利?100均USBコンセントの隠れた危険性
- 発熱対策が不十分
- 電圧・電流の制御が甘い
- 安全部品(温度センサーやヒューズ)の省略
などの理由により、使用中に異常発熱・通電不良・接触不良などが起こりやすくなっています。
参考になりそうなyoutubeの動画があるので、シェアしておきます。
100均USB充電器の「価格のカラクリ」
「100円」では買えない?実際は500円以上
現在では、100均のUSB充電器でも最低価格は300~550円前後。実際の販売価格は100円ではないことが多いです。
原価と品質の関係性
GaNのパワー半導体は、部品原価だけで数百円~1000円前後とされます。そのため、550円の製品にGaNを採用するのはコスト的に難しく、シリコン製の廉価版である可能性が高いです。
粗悪品にあたると、寿命が短く、発熱や発火リスクもあるため注意が必要です。
100均の充電器はどこに売ってる?
セリアは充電器本体の販売は無し
セリアでは充電器本体の取り扱いはありませんが、充電器の関連商品は多く、特に充電器やモバイルバッテリーに使える充電ケーブルが充実しています。
ダイソーはスマホアクセサリーコーナー
ダイソーではUSBコンセントタイプのアダプターがいくつか確認されています。USBポート1口タイプ300円や2口タイプ500円商品として販売されています。
キャンドゥーは?
スマホアクセサリーコーナーに置いてます。
Wattsは?
近くのWattsのスマホアクセサリーコーナーの写真をしめしています。300円と500円のACアダプターが売っています。

中身が見えるスケルトンのACアダプターを購入してみました。結構面白いですね。ちなみに赤枠の部分にシリコンのパワー半導体が入っています。



おすすめのUSB充電器はこれ!

ここからは、今までの説明からおすすめの充電器を紹介!
安心・安全なGaN搭載モデル
- Anker PowerPort III 3-Port 65W Pod
- GaN II技術採用、安定性が高くスマホ+PCの同時充電も可能。
- 出力:最大65W(USB-A & USB-C 3ポート)
- 価格:4,490円前後
- 高価だが、ノートPCとスマホをまとめて充電したい人にはおすすめ。スマホの充電だけならシリコンの半導体の2000円前後のモデルも選択肢になるかも。
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新品価格 |
- UGREEN 充電器 30W (2xUSB-C + 1xUSB-A)
- GaN採用の急速充電モデル。
- 出力:最大30W
- 価格:1,980円程度
- コンパクトでスマホ用として十分な性能。
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新品価格 |
2,000円が適正価格帯な理由

100均品と比べると高価に見えますが、壊れるたびに買い直すコストや手間、そして安全性を考慮すると、2,000円程度のGaN充電器がコストパフォーマンスに優れます。
複数ポート&急速充電対応が便利!
PD(Power Delivery)やQC(Quick Charge)などの規格に対応した充電器なら、スマホの充電時間を短縮しつつ、同時に他デバイスも充電できます。
まとめ:100均USB充電器は「使いどころ」に注意しよう
コスパ最優先なら短期間用に
旅行先や緊急時など、「とりあえず1回充電できればいい」という状況なら、100均の充電器も選択肢に入ります。
安定性・安全性重視なら信頼メーカー一択
毎日使う充電器こそ、安全性・耐久性・充電性能を重視すべきです。信頼できるメーカーのGaN充電器を選ぶことで、安心して長く使うことができます。
用語解説
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| AC(交流) | コンセントからの電気。電流の向きが周期的に変わる。 |
| DC(直流) | 電池などが出す電気。電流の向きが一定。 |
| パワー半導体 | 電力の制御に使われる高性能な半導体素子。変換効率や放熱性が重要。 |
| Si(シリコン) | 一般的な半導体素材。安価で性能は標準的。 |
| GaN(窒化ガリウム) | 新素材。高効率で発熱が少なく、小型化可能。高価。 |
| PD(Power Delivery) | USB規格の1つ。最大100Wまでの急速充電が可能。 |
| QC(Quick Charge) | Qualcomm社が開発した急速充電規格。主にAndroid端末向け。 |
充電器は日々の生活の中で長時間使うデバイスです。安いからといって妥協せず、自分の使い方に合ったものを選ぶことが大切です。
USB充電器の規格は?
USB BC (Battery Charging)
USB Implementers Forum (USB-IF) によって策定された充電規格で、USB BC 1.2 が広く普及しています。USBのデータ通信規格とは別に、充電に特化して電流供給能力を高めることを目的としています。
USB BC 1.2 では、最大 5V/1.5A (7.5W) の給電が可能です。
DCP (Dedicated Charging Port)、CDP (Charging Downstream Port)、SDP (Standard Downstream Port) の3種類のポートが定義されており、機器側がどのポートに接続されたかを判別し、適切な電流で充電を行います。
USB PD (Power Delivery)
USB-IFによって策定された、USB Type-Cコネクタと組み合わせることで、より高出力な電力供給を可能にする急速充電規格です。データ転送と同時に高出力な電力供給ができます。
最新の USB PD 3.1 では、最大240W (48V/5A) までの電力供給(EPR: Extended Power Range)に対応し、ノートPCやモニターなど、より多くの電力を必要とする機器への充電・給電が可能になりました。
Quick Charge (QC)
米国Qualcomm社が開発した独自の急速充電規格です。主にQualcomm Snapdragonプロセッサを搭載したAndroidスマートフォンで広く採用されています。
初期のQC 1.0から始まり、QC 2.0、QC 3.0、QC 4/4+、QC 5と進化しています。
QC 3.0 は、3.6V~20Vの間で電圧を細かく調整し、最適な充電効率を実現します(INOV: Intelligent Negotiation for Optimum Voltage)。
QC 4/4+ 以降はUSB PDとの互換性を持つようになり、USB PD対応機器も充電できるようになりました。
QC 5 では、最大100W以上の電力供給と、わずか5分で50%充電などの超高速充電が可能になりました。
後方互換性
多くの充電器は、上位規格に対応していれば下位規格にも対応しています。例えば、USB PD対応の充電器は、USB BC 1.2対応のデバイスも充電できますが、その場合はUSB PDの最大出力ではなく、デバイスが受け入れられる最大電力で充電されます。
電力(W数)の目安
スマートフォンなら20W~45W程度、ノートPCなら45W~100W(またはそれ以上)が必要です。



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